11月17日の神奈川県指圧師会 定例研究会にて「熱指圧」をテーマに講習会を担当いたしました。この講習では、私が指圧の実践を通じて培ってきた技術や理論、そして日々の施術で大切にしている考え方をお伝えしました。
指圧における「触れる」ということ
一般的に指圧と聞くと「強く押す」というイメージが先行しがちです。しかし、私は指圧とは単なる力の強弱ではなく、「触れる」ことのあり方が根本であると考えています。粗雑な触れ方は受け手の身体や心に防御反応を引き起こし、治癒を妨げる恐れがあります。一方、丁寧で優しい触れ方は安心感を生み出し、受け手の心身が自然とリラックスできる状態へと導きます。
「触れる」という行為は、受け手の身体だけでなく心にも寄り添うものです。その意味で、私は徳治郎先生が残した「身体にふれるということは、心にふれるということ」という言葉を大切にして、常に敬意と誠意を持って施術に臨むよう心がけています。
適切な圧の技術
指圧において、強すぎる圧は組織を損傷し、逆に弱すぎる圧では十分な効果が得られません。私は、強弱のバランスを取りながら、組織にダメージを与えず、深部に働きかける圧を目指しています。また適度な痛覚刺激は受けての満足感や爽快感につながります。組織を傷つけない「コントロールされた痛覚刺激」ができるように圧の精度を自在にコントロールできるようになるのが良いです。
「引きの指圧」は、減圧時に身体を戻して引かず、その場で風船から空気が抜けるように自身の筋出力を弛緩させることにより、受け手の組織の反発力を受けとめるように圧を抜きます。この時に「押しながら引く」時間がうまれ、筋の緊張をとても効率良くリリースできるようになります。
指圧はコリを強い力で潰すのではなく、安心感と気持ちよさとともに、受け手の身体と心の状態を整えるものだということを伝えていきたいと考えています。
温熱との併用による効果
指圧に温熱を組み合わせることで、施術効果をさらに高めることができます。温熱は結合組織の柔軟性を向上させ、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。温熱器具としては、遠赤外線効果や湿熱効果に優れた「温熱瓦 長久」や、電気で加熱する「ベン石温熱器」、やさしい温かさの「玄米よもぎカイロ」などがあります。
私が伝えたい想い
今回の講習でお伝えしたかったのは、技術や理論だけではありません。何よりも、「触れること」への敬意と、「心を込めること」の重要性です。一つ一つの施術に真摯に向き合い、受け手に安心感と信頼を届ける。その積み重ねが、指圧の本質であり、私が日々大切にしていることです。