「早寝早起き朝ごはん」全国協議会推進会員に加入しました

はじめに

つむぐ指圧治療室では、かつてより昼のセロトニン・夜のメラトニンのバランスを整えることが身体だけでなく、心の健康にとっても大切なことと考えています。木・土の朝活マインドフルネス実践会などを通じて、朝を規則正しく起き、瞑想する心地よさについて啓蒙活動を行なっています。また朝ごはんをよく味わって、楽しみながら食べる大切さなどについてもお伝えしていけたらと考えています。

以前よりセロトニンにつきましては、抑うつや慢性疼痛との関係性において、その重要性を把握し、セロトニン神経系を活性化させるような生活習慣が心身の健康に大きく貢献するという考えのもと、治療哲学を築き、知識と技術の構築をしてきました。

専門学校の解剖学講義において、間脳の松果体の資料を作成する際に、セロトニンとメラトニンの関係性について調査いたしました。そして気づかされたことは、セロトニン・メラトニンのバランスは、子供の健やかな成長にとってもとても大切であるということでした。

私は老若男女、ご縁があり出会った全ての方々の心と身体の健康にお役に立てればと願っておりますが、特に次世代を担う子供や、子育てを頑張っているお母さん、お父さんの方々にとって、なにか力になれないか。良い情報提供ができないかとずっと考えています。

そこでこの度、つむぐ指圧治療室では、地域全体での家庭の教育力を支える活動をしている「早寝早起き朝ごはん 全国協議会」の推進会員に加入いたしました。

「早寝早起き朝ごはん」全国協議会とは

子供の体力が低下しており、その向上のためには適切な睡眠、食事、運動が大切であることや、近年小学校1〜2年生から学級崩壊が生じているように、家庭や地域の教育力が低下し、幼児期の基本的生活習慣の確立やしつけが十分になされておらず、「地域総ぐるみ」での教育再生への取組みが求められていることにかんがみ、文部科学省では、「早寝早起き朝ごはん」運動の励行など、幼児期からの基本的生活習慣の確立を目指して「子どもの生活リズム向上プロジェクト」事業を平成18年にスタートさせました。同時に、これを実際に国民運動として推進する母体として、「早寝早起き朝ごはん」全国協議会が設立されました。

当協議会では、子供たちの健全育成に関心を持つ企業・団体等の皆様とともに、「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するため、様々な活動を行っております。

「早寝早起き朝ごはん」運動について | 早寝早起き朝ごはん全国協議会

「早寝早起き朝ごはん」全国協議会は、文部科学省と連携をとり国民の健康、特に子供の健やかな成長のために家庭における食事や睡眠などの規則正しい生活習慣を推進している組織です。つむぐ指圧治療室におきましても、この活動にこころより賛同し、有益な情報提供と啓蒙活動を行なっていくことにより、地域の方々そして子供たちの健やかな成長に貢献していく所存です。

なぜ、「早寝早起き朝ごはん」なのか

まずは理論より結果を示します。朝食を「毎日食べる」子と「食べない」子では学力に大きな差がでます。また、学力の差ほどではないですが、体力にも差がついてきます。

朝食の有無と学力・体力の相関について

朝食の摂取と学力調査の平均正答率との関係 文部科学省「平成28年度全国学力・学習状況調査」
毎日食べる 食べない日もある 食べない日が多い 食べない
小学校
6年
国語A 74.4 66.3 60.7 56.5
算数A 79.2 70.7 64.6 60.1
中学
3年
国語A 77.2 72.2 68.4 66.0
数学A 64.9 55.3 49.2 45.8
朝食の摂取状況と新体力テストの体力合計点との関係 スポーツ庁「平成28年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査」
毎日食べる 食べない日もある 食べない日が多い 食べない
小学校
5年
男子 54.3 52.0 50.9 50.3
女子 55.9 54.1 52.8 52.1
中学
2年
男子 42.4 40.3 39.4 39.1
女子 50.0 47.3 46.0 45.3
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昔に比べ、子供の就寝時間は遅くなり、睡眠時間も減少している

子供の生活の夜型化(橋本 2004)

少し古いデータですが、小学生の睡眠時間の推移を表した表です。1970年では小学生の睡眠時間は9時間23分でしたが、1995年の調査では8時間43分に減少しています。10時半以降に就寝した子供の割合は、3年生男児では1985年に16.2%でしたが、1998年では36.8%に増加しています。同じく3年生女児でも1985年に11.3%だったのが、1998年には26.9%に増加しています。

就寝時刻とテレビゲーム・家庭勉強(小3と小5)(橋本 2014)

こちらは、TVゲームと家庭勉強の有無と就寝時刻の相関を調べたデータです。ゲームを行なう子は就寝時刻が遅くなり、勉強をする子は就寝時刻が早くなるという傾向が示されています。

これらの結果より、テレビの普及とともに、家庭の生活環境が夜遅くまで起きているスタイルに変化し、TVゲームなどの娯楽が増えたことにより、結果として小学生の睡眠時間も減少したことが考えられます。一昔前まではゲームといえばテレビに接続して遊ぶファミコンのようなものが主流でしたが、現在ではパソコンやスマホ、Switchなどの携帯型ゲーム機など多種にわたっています。

テレビ画面やタブレット、パソコンのディスプレイなどは光を放ちます。眼に光が入ることにより、交感神経系を介して松果体に抑制がかかり、メラトニン分泌が低下します。すると夜な夜なゲームをやり睡眠時間が遅くなるという悪循環が生まれます。

2015年の調査で、子供の睡眠時間の減少に歯止めがかかったとの報告がありますが、昭和45年ころから比べて子供の睡眠時間が遅くなっていることは間違いなさそうです。

生活習慣の乱れが、思春期早発症を引き起こす可能性がある

生活習慣の乱れ 性成熟早める? 産経新聞2004年11月29日より

この報告では、昭和36年(1961年)の調査では平均初潮年齢が13歳2.6ヶ月だったのに対し、平成9年(1997年)の調査では、12歳2.0ヶ月となっています。わずか36年の間に初潮年齢が1年以上早くなるというのは、人類が地球に誕生して今日までの長い歴史を考えた場合には、とても大きな変化が起きていると言えます。

また、平成14年の調査では、「毎日朝食を食べる」子の平均初潮年齢が12.21歳であるのに対し、「1週間の朝食が0〜4回」の子では11.97歳と初潮が早くなっていることが示されています。また平均睡眠時間との関係でみると、8時間以上寝る子は平均初潮年齢が12.20歳であるのに対し、8時間未満の子は11.81歳となっています。

この結果より、朝ごはんの回数が少なかったり、睡眠時間が少ないほど性成熟が早まることが示されています。これは何故なのでしょうか。様々な要因が考えられますが、セロトニンとメラトニン分泌のバランスの乱れが関わっている可能性があります。

セロトニンとメラトニンの関係

セロトニン(脳内の神経系を調和させる指揮者)

セロトニンは脳内の神経細胞の指揮者のように働き、調和の取れた心身状態を作り出します。とくに喜怒哀楽などを生み出す大脳辺縁系において、心のバランスを整えます。脳内でセロトニンが不足すると抑うつ症状が現われやすくなります。

またセロトニン神経系は脳幹から脊髄に下行性に信号をおくり、痛みの調節、鎮痛に働いていることが知られています。これを「痛みの下行性抑制系」といいます。

よって、うつ状態と慢性疼痛にはセロトニン不足が要因である可能性がとても高いという点で、共通しています。

メラトニン(体内時計のリズムを保つ)

メラトニンはセロトニンを原料として、松果体で合成分泌されるホルモンです。メラトニンは体内時計のリズムを整える働きがあり、夜暗くなると分泌が高まり、眠くなり床につくというリズムをつくりだします。アメリカではサプリメントとして薬局で売られていて、体内に存在する自然な物質であるということで、時差ボケを解消する睡眠導入剤の代わりとして用いられることもあるとききます。

メラトニン分泌は乳幼児期〜学童期がピーク

メラトニン分泌量と年齢(Grivas et al. 2007)

このメラトニンですが、乳幼児期(1歳〜5歳)から学童期に最も多く分泌されることが知られています。これは子供にとってメラトニンの分泌が必要であるということは間違いないと思います。

メラトニンには体内時計のリズムを整える働きの他に、性腺抑制作用があることが知られています。昔に比べて子供の就寝時刻が遅くなっていること。ゲームなどで夜遅くまで起きていることでメラトニン分泌が減少すること。そして平均初潮年齢がわずか数十年の間に1年も早くなっていること。はっきりと証明されたわけではありませんが、これらのことは互いに強く関係があると思っています。

初潮の年齢が1年早くなったからといって、何が悪いのかという意見ももちろんあるかとは思いますが、やはりメラトニンが子供の時に最も多くでるということは、それだけ子供の発育にとって大切であるということだと思っています。よって私たち大人が環境を整えてあげることで、子供のセロトニン・メラトニンの分泌バランスを良くしてあげる。子供の健やかな成長にとって、とても大切なことであると私は考えます。

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結語

以上のことより、つむぐ指圧治療室では「早寝早起き朝ごはん」の推進運動・啓蒙活動を行なっていきたいと考えています。

今回は、「子供の健やかな発育」という観点から論じましたが、セロトニン・メラトニンの重要性は全ての人々、とくに抑うつ傾向のある方や慢性疼痛に悩む方々にもとても有益であると思います。

朝のマインドフルネス実践により、生活のリズムを整えて心穏やかに一日をスタートすること。
朝ごはんを美味しく、楽しくいただくこと。
瞑想や呼吸法によりセロトニン神経系を活性化させること。
指圧により身体の不調を改善させ、よりアクティブに人生を楽しめるようにお手伝いすること。

これらは私の治療哲学の中で、すべて密接に結びついていることです。
正しく理解し、誠実に、続けていくこと。
大切にしていきたいと思っています。

参考文献

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