冬至 – とうじ –
12月22日〜1月6日。太陽が最も南に寄り、北半球では一年で最も昼が短く夜が長くなる日。柚子湯やかぼちゃを食べる等おなじみの習慣の多い二十四節気の一つです。一番日が短いという事は、冬至が陰の極点と考えられており、この日以降陽に転じる「一陽来復」縁起のいい日でもあるのです。
柚子たち(photo by 305 Seahill)
初侯:乃東生 なつかれくさしょうず
12月22日〜26日は冬至の初候、乃東生(なつかれくさしょうず)です。夏枯草が芽を出す頃。この七十二候は夏至の「乃東枯」に対応しており、生薬の一つでもあるうつぼ草の事を指しています。うつぼ草は穂の様に花をつける花穂(かすい)ですが、6〜8月に上から下に順に花をつけ下の花が咲く頃には上の花は枯れていきます。夏真っ盛りの頃には枯れて茶色くなった花穂になることから夏枯草と呼ばれる様になりました。茶色くなりかけた花穂を天日干しにして利尿や消炎薬の生薬として使われてきたそうです。
長野県北安曇郡のうつぼ草(photo by 田中十洋)
次候:麋角解 さわしかつのおる
12月27日〜31日は冬至の次候、麋角解(さわしかつのおる)です。令和元年最後の七十二候です。大きな鹿の角は冬のこの時期になると抜け落ちて、春になると再び生えてきます。
鹿の角は牛の角のように骨の成分でできているのではなく、皮膚が硬くなってできるもので、爪と同じ性質でできています。鹿の角は水に浸せば柔らかくなり加工しやすくなるので、縄文人の道具でも鹿の角が矢じりや釣り針として使われてたそうです。古代より鹿は人間が生きていく上でとても大切な動物とされてきています。
末候:雪下出麦 ゆきわたりてむぎのびる
1月1日〜5日は冬至の末候、雪下出麦(ゆきわたりてむぎのびる)です。11月頃に種まきをした小麦が芽を出しはじめる季節です。秋まきの小麦は、この冬の低温に晒されないと春になっても実が生らないとされています。寒さの中、土の中で生きる力を蓄えて、春の到来を待つ様子がうかがえます。
私たち人間も、苦労を乗り越えて成長していけたらいいですね。苦労や痛みを知るからこそ、やさしくなれる。そんな気がいたします。
冬に力を蓄え、実りに備えます
「お屠蘇(とそ)」の由来と効能
年末になると見かけるようになる「屠蘇散」。年末に屠蘇散のパックをお酒に浸しておいて、元旦に飲むのが「お屠蘇」です。これはもともと中国の三国時代に魏の名医華佗が作ったものとされ、それが日本では江戸時代に庶民にひろがったとされています。
屠蘇散に含まれる生薬の効能を簡単に記します。
- 白朮(おけら):健胃、発汗、利尿、下痢止めなど
- 桔梗(ききょう):鎮咳、去痰、排膿、強壮など
- 山椒(さんしょう):健胃、利尿など
- 防風(ぼうふう):発汗、解熱、鎮痛など
- 桂皮(けいひ):健胃、発汗、解熱、神経痛など
「ワインに浸してホットワインとしても☺」
二十四節気通信 vol.7 冬至 ダウンロード
- 冬至 – とうじ -(12月22日〜1月6日)
- 私の考える息・食・動・想 ― 操体法 橋本敬三先生の言葉より ―
編集後記
もうそろそろ、我が家に娘が誕生いたします。私自身は男兄弟で育ちましたので、女の子が生まれるということがとても新鮮で楽しみです。今年は開業などでなかなか上の息子との時間も確保できなかったので、来年は少し余裕をもち、息子と娘、そして妻と思い出に残る時間をつくれるように、心がけたいと想います。(黒澤一弘)
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