大雪 -たいせつ-
本格的な冬の到来です。山々だけでなく平地でも雪が降り、池にも氷が張るようになる頃。動物達の冬ごもりが始まります。鰤は旬をむかえ寒ブリの漁が盛んになります。またこの時期、坂東三十三観音の五番札所と知られる名刹、小田原市の飯泉山勝福寺では毎年12月17日18日に関東で一早くだるま市が開かれ賑わいます。
この時期に真っ赤な実をつける南天は「難転=難を転ずる」ことに通じるとされ、古くから縁起の良い木として親しまれています。

初雪南天(photo by 篁)
初侯:閉塞成冬 そらさむくふゆとなる
12月7日〜11日は大雪の初候、閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)です。雪曇りの空に天と地の気が通わなくなり本格的な冬を迎えた事を表した言葉です。重い空に気持ちが沈みがちですが、温かい部屋で美味しいものを頂きながらゆったりと春を待つのも冬の楽しみの一つではないでしょうか。

雪の相模原公園(2018年)
次候:熊蟄穴 くまあなにこもる
12月12日~16日は大雪の次候、熊蟄穴(くまあなにこもる)です。熊が冬ごもりに入る頃。実りの秋にドングリやヤマブドウ等木の実をたくさん食べ、冬に備えます。そして驚いたことに、メスは冬ごもり中に出産するそう。産後の母クマは飲まず食わずのまま授乳やお世話を続け、春を迎えます。メスとオスは別々の穴で冬ごもりをするそうですから、究極のワンオペ育児ですね。
末候:鱖魚群 さけのうおむらがる
12月17日〜21日は大雪の末候、鱖魚群(さけのうおむらがる)です。大海で大きく成長した鮭が産卵のために産まれた川に舞い戻る頃。小さい頃、北海道のおじがいくらの沢山詰まった鮭を送ってくれました。家族とワクワクしながら頬張る懐かしい冬の思い出。調べていて改めて、なぜ大海原に出た後も故郷の川に戻れるのか。嗅覚・視覚・磁力・太陽コンパス等々、諸説あるようですが、どれも定かではないのですね。それでも命を懸けて故郷に戻り産卵を経て命尽きる。私自身出産を控えている事もあり、自然と生き物の神秘を感じます。(黒澤 茜)

鮭の遡上 photo by Walter Baxter
今が見頃!関東の人気紅葉名所
二十四節気通信 vol.6 大雪 ダウンロード
- 「大雪(たいせつ)」(11月22日〜12月6日)
- 昼のセロトニン・夜のメラトニンを高めよう ー 神経系を整え、健やかな毎日のために
編集後記
12月に入り、治療室にクリスマスツリーを飾りました。いまはLEDの電飾が主流ですが、 昭和時代のレトロなクリスマスライトを探し出して購入しました。この点滅のリズムが幼い頃の感覚を思い起こさせます。この「懐かしい」という気持ちは島皮質という部分が重要で、母性の発現も同じ部位が関係していると大学院の授業で教わりました。懐かしさを感じる部位と、新しく命を育てる部分が同じなのは興味深いです。(黒澤一弘)
この記事へのコメントはありません。