指圧セミナー初日

本日は全6回で行う指圧セミナー、火曜コースの初日でした。

まずは、触診法の基礎として、縫工筋の触診を行いました。
縫工筋は最表面にある筋なので、触れられるはずですが、では大腿部をさわって縫工筋がわかるでしょうか。

触診のコツは、目的とする筋を「つぶさない」ことです。
そして、ありありとしたイメージが大切。起始と停止を仮想の線でむすび、「ここに○○筋がいるはずである」とイメージをして触れます。このときは人さし指を交叉させ、中指と薬指の4本をラインにして触れるのがいいです。そして、筋の縁をさわります。イメージをして正しい場所をふれると、その筋がつくる境界の微細な変化を感じ取れるようになります。

触診は指紋のよれで感じ取ります。指紋の山谷、山谷のひとつの山の下には、2列の真皮乳頭がありマイスネル小体がびっしりと配列しています。指紋は単なるすべり止めではなく、感覚を鋭敏にするためのものです。

そのように、まずは触診の基本を行うことにより、「触れ方」の感覚をつかんでいただきました。

次は「触れ方」
繊細で優しい触れ方は受け手の安心感をもたらします。手指の力は抜き、四指は自然と柔らかく揃え、包み込むようにまず母指が触れます。四指の支えの面の軸となるのは中指です。中指を気持ち1〜2cmほどすっと遠くへ伸ばします。四指は中指に誘導されるように、受け手の体表面をそっと覆い、小指MP関節と小指が接します。この時に手掌部まですべて受け手の体表面に接してしまうと、母指圧がぼやけてしまいますので、指が2本入るくらいの凹みをつくります。この時のチェックポイントとしては、触れた時に筋肉まで押していないか? 母指は受け手の体表面に対して、偏りがない状態となっているか?に重点を置いて確認いたします。

次に、手首の遊びを取ることにより、四指を吸い付けます。肘関節はまっすぐに伸ばした状態ではなく、少し緩んだ状態より始めます。肩甲間部や肩甲下部、大腿前側部や大腿後側部など多くの部位では、手の動きとしては「回内」動作に近いイメージで手首を締めます。このときに「回内」により小指を離してしまうのではなく、小指・薬指のMP関節を密着させたまま手首の締めを行なうことで、四指が吸い付くように密着します。同時に肘頭はやや外側に向きます。また、腋窩部や大腿外側部などでは「回外」的な動きにより四指を密着させます。肩甲上部では四指を引き寄せる動きを使います。

手首の締めを使い、四指を密着させると同時に、小指・薬指のMP関節部を支点とした梃子の作用が働き、母指が自然に筋膜表面までやや沈み込みます。皮膚に触れ、手首の締めを行なうことで、押圧前に四指の支えを成立させます。
包み込まれるような安心感とともに、母指圧が深く浸透するための支え圧は、「四指で押す」のではなく「四指を引き寄せる」ように意識するのがポイントです。四指圧も「押す」ように加圧すると、母指と四指の両方で圧迫を受けるような “重い圧” となります。体重圧にて加圧する場合は、母指に圧力が行くのと同時に四指MP〜四指にも体重が分散してしまいがちとなります。四指を引き寄せるように支え圧を行なうためには、反作用による押圧が容易となります。

この触れ方と手首の締めによる支えまでを少し時間をかけて、丁寧に練習しました。とても大切な基本の基礎です。

その後スタンスの種類と、重心の位置についての説明と練習を行いました。両下肢の方向や角度によるスタンスには「閉じたスタンス」と「開いたスタンス」があります。双方に利点があるので、状況や部位により使い分けができるようになると良いです。

「閉じたスタンス」では、体幹の向きと前側の足指が同じ方向を向くスタンスです。体幹を前に移動させても、前側の足底で自分の体を支えることができます。受け手にのし掛からないので、安全性が高く、精度の高い押圧が可能です。
「開いたスタンス」は、体幹の向きに対して、前側の足指はやや外側に開きます。前側の足で自分の体を支えることはできないので、膝を付いている側の下腿―大腿の角度が90度を越えると、圧のコントロールを失いのし掛かってしまいます。注意しないと容易に相手にのし掛かってしまう点に注意が必要ですが、下半身や体幹の動きを効率良く圧にできるという利点があります。

当治療室の指圧セミナーでは故 鈴木林三先生より教わった「開いたスタンス」を元に、口伝により得たさまざまなコツを理論化、反作用や運動学による動作の理論的分析を行ない、太極拳の身体操作をヒントに下肢〜殿部〜背部〜肘の伸展を積み重ねることによりのしかからないで、柔らかく浸透する精度の高い押圧を行なうことを目的としてます。
重心の位置に関しては、片膝立ちの姿勢をとった場合に、膝が接している側の大腿と体幹が真っすぐになっている場合は、重心が膝にかかっています。開いたスタンスにおいて、そこから体幹を前に移動させると、重心が膝より前方へ移動し、受け手にのしかかってしまいます。重心を膝に落とした状態より、股関節と膝関節をやや屈曲させ、骨盤を後方にスライドさせることにより、重心が下腿~足背へと下がります。下腿~足背がしっかりと地面を捉えて、下半身が安定します。 骨盤を後方へスライドさせるのではなく、殿部を後ろに突き出すように股関節を屈曲させてしまうと、下半身と上半身の連動が途切れてしまい、結果として腕の力に頼った圧となってしまいます。尾骨を前方に向けたまま骨盤を後ろにスライドするようにします。
この時のチェックポイントとしては、膝に重心が落ちている場合は、誰かが踵を持ち上げようとした場合に、容易に踵が持ち上がります。重心が下腿~足背にある場合は、踵を持ち上げようとしても、あがりません。

その後、軸の使い方を知るための「五円玉ネックレス」を使用した練習法を行いました。五円玉ネックレスのやや先に母指を置き、圧点を定めます。五円玉が母指の真上を通る方向に体軸を移動させます。この時に移動の初動では圧を掛けないのがポイントです。身体は前に移動しますが、圧をかけずに溜めをつくります。

そして、五円玉が母指の真上を通過するタイミングで背部と肘が滑らかに伸展することにより圧が入ります。足先より下肢、殿部、背中、肘と各関節のほんの少しの伸展を積み重ね連鎖させることにより精度の高い浸透する押圧を行ないます。押圧時には広背筋を効かせて、肩甲骨を下制、下方回旋させ固定することが大切です。広背筋を効かせてない状態では、下半身からの張力の伝導が腕へと伝わる際に、肩甲骨が固定されていないことによりぬめってしまい、力の伝導にロスが生じます。

繊細で丁寧な触れ方、そして四指の密着、下半身や体幹からの圧の伝導で押圧すること。
これらが融合したときに、カラダだけでなく、こころにも響く指圧ができるようになると考えています。

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