デフォルトモード・ネットワークとは
デフォルトモード・ネットワーク(DMN)は脳のアイドリング状態のときに働く回路のことをいいます。「何もせずにただぼーっとしている」ような時でも、「何も考えていない」ことは、実際にはほとんどありえず、常に私たちの脳は、何かを思い出したり、想像したりして考えを巡らせ続けています。
これは、私たちが持っている身体の仕組みであり、これ自体はなんら悪いものではありません。何もしていない時に、脳が活動を停止させてしまうと、とっさのときに迅速な判断ができなくなります。(車のエンジンを完全に切ってしまうと、走り出したいタイミングで少し遅れがでてしまうのと似ています)
ストレス状態のときには、デフォルトモード・ネットワークが疲労を高める
ですが、このストレス社会の中で、不安や憂いがあるような状態の時はどうでしょう。何もしていない時に、このDMNの回路が働きはじめ、嫌なことを思い出したり、何か良くないことが起きるのではないかという漠然とした不安が脳を巡ります。
サマタ瞑想はデフォルトモード・ネットワークの過活動をおさえる
マインドフルネスは、思考の連鎖を止めてみることを試みます。さまざまなマインドフルネスの技法がありますが、「サマタ瞑想(止瞑想)」は特にデフォルトモード・ネットワークの過活動を抑えるのに効果的です。サマタ瞑想では注意の対象を「呼吸」に向け、それを持続させる訓練です。いざ呼吸だけを注目しようとしても、心はすぐに呼吸から離れてさまよってしまいます。これは私たちの脳がそのようにできているからです。もし想起や思考に気づいたなら、それをやさしくそっと手放し、また呼吸の観察に戻ってあげます。思考を手放し、「今・ここ」に留まり続けること。それがマインドフルネスです。
やってみよう「サマタ瞑想」
- 静かで落ち着いた環境を選びます
- 自然に座ります。座高が2〜3cm、内からすっと伸びる感じが良いです。
- 手は自然のままでも、印(ムドラー)を結んでも、どちらでもかまいません。
- 注意対象を鼻腔の周りに持っていきます。鼻から入る空気。出て行く空気を観察します。呼吸のリズム、出入りする空気の温度や湿度、鼻腔を流れる感覚などをありのままに観察します。呼吸のコントロールはせず、自然な呼吸を観察いたします。
- 鼻腔の周りで集中が得られにくい場合は、呼吸に伴う胸郭や腹部の動きに注意を集中させてもかまいません。その場合は「ふくらみ・ふくらみ、ちぢみ、ちぢみ」と動き自体を思考を挟まずただ観察します。
- サマタ瞑想の要諦は「注意を一点に集中させ、持続させること」です。これにより脳の過活動がおさえられ、平静さと集中力が養われます。
- 毎日10分〜20分くらいできると効果的です。
受験勉強や知的労働にも効果的
脳の活動エネルギーの75%は、デフォルトモード・ネットワークによって消費されていると言われています。受験勉強や知的労働などで脳を使った後は、その後のデフォルトモード・ネットワークの過活動を抑えてあげることで、脳の疲労を効果的に回復させることができるます。そして、いざ脳を使う時には、より効果的に使えるようになってきます。身体を鍛えるように、脳もトレーニングによりパフォーマンスを向上させることができます。
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