20代男性
介護職、筋トレ愛好家
ベンチプレスのようなトレーニング開始時に左肩に痛みがでる。すこしすると動作時の痛みが減る。
そうなると、持ち上げる動作ではあまり痛くないが、あげる動作から下ろす動作への切り替え時に痛みが走る。痛みの正確な部位は不明瞭。
また肩関節を動かすとクリック音もする。
その他には腰もつらい。
まずは仰向けで主訴である左肩周りから指圧を開始しました。
腋窩部はパツンと張った感じ。特に烏口腕筋がスパズムを起こしていて、触れて少し圧をいれるだけで鋭い圧痛があります。緩圧法や流動圧法を試みましたが、いまいち反応しなかったので、トークセンによる振動刺激を送りました。
γ運動ニューロンが過興奮しているようなコリ(スパズム)には筋紡錘やゴルジ腱器官などの固有受容器に的確に情報を遅れるトークセンはかなり効果的だと感じています。
20秒ほどコココン、コココンと木槌による振動を送ったところ、圧痛はかなり低減し、筋自体も適度に弾力性が戻りました。
烏口腕筋は腋窩部で大胸筋に近い位置ですが、腋窩の後壁のほうを指圧すると大きなコリと鋭い圧痛があります。
小円筋にも圧痛がありましたが、肩甲下筋がひどくスパズムを起こしていました。
通常圧法、緩圧法、微細な流動圧法を試しましたが、ここもやはりイマイチ反応がありません。
そこで抵抗運動瞬間脱力を行いました。肩関節内旋の自動運動に抵抗を加えて、関節を少し動かし、抵抗をまして等尺性収縮を3秒ほどしてもらい、ポトンと瞬間脱力。2呼吸、3呼吸呼吸とともに感覚を感じてもらいます。そのときに超弱圧にて押圧を行なうと、するするっと緊張が解けていきます。
これを3回ほど繰り返しました。肩甲下筋の圧痛とスパズムはかなり軽減しました。
その後、内側上腕筋間中隔に流動圧法を行いました。肘に近いところで鋭い圧痛があります。
上腕二頭筋も張っているのですが、その下の上腕筋がスパズムを起こしています。
ベン石温熱器による筋膜リリースを行い、その後に肘窩とその少し下、橈骨粗面と尺骨粗面のあたりにトークセンによる振動を送りました。そして、抵抗運動後瞬間脱力。
完全に圧痛は取り除くことは今の私では難しいですが、これでかなり圧痛が軽減します。
前腕も全体がつよく張っている感じです。筋筋膜に局所的ストレッチをかけるような流動圧で全体の張りを軽減させて、トークセンにより固有受容器に刺激をおくりました。
大胸筋は母指、四指とベン石温熱器でリリース。三角筋は前部ふくめてさほど問題が無いように感じました。
上腕三頭筋はドテッとした大きなコリがあるのですが、圧痛はさほどないようです。コリは内側頭にとくに認められます。点圧による痛覚刺激、四指の流動圧による筋膜へのアプローチで適度に柔軟性を取り戻し、前腕の外側へといきました。
総指伸筋に強いスパズムがあります。トークセンで筋紡錘に刺激をおくり、微細な伸張反射を引き起こさせ、ある程度の圧痛をとり、抵抗運動・瞬間脱力を行いました。
右腕も凝っていましたが、左腕のような強烈なスパズムはありませんでした。
左右腸腰筋に対しては、カウンターストレインを併用した緩圧法によりリリースいたしました。
背面では、T7〜L2の右脊柱起立筋に強い盛り上がりがありました。三つ又の排酸棒を使い棘筋や横突棘筋をリリースしました。
ハムストリングスは全体がパツーンとした感じで張っています。手技でなかなかとれないハムの強い張りは、トークセンが向いているように実感しています。坐骨結節への付着部に強めの振動を送り、膝窩部の腱となった部分も、リズミカルに振動をおくります。
左膝窩は腓腹筋内側頭にも100円玉くらいのコリと圧痛がありました。下腿後側に流動圧、振動をおくりましたが、このコリはちょっとしつこかったです。膝関節を90度屈曲させて足裏を上に向けた状態で内果の真下くらいにあたる「ウナ」にトークセンで30回ほど振動をおくりました。脛骨長軸を介して膝関節の固有受容器に刺激をおくり、またウナを連続して叩くことにより、重心軸を整える効果も期待しました。
右足も同じように施術しましたが、右膝窩には圧痛をともなうコリはありませんでした。
最後に座位となってもらい、仕上げました。
筋肉モリモリの若い方の筋肉さんと楽しく対話したような感じで、私も心地よい満足感がありました。
この記事へのコメントはありません。