【報告】9月15日・指圧セミナー『押圧操作の基本(反作用圧法)』

指圧セミナー『押圧操作の基本(反作用圧法)+ ボディスキャン瞑想体験講座』を令和元年9月1日/15日に開催いたしました。

今回は筋の触察は行なわず、午前・午後と1日かけて押圧操作の基本についての講座を行ないました。触れ方から身体の移動の方法、減圧から次の圧点へと移動するまで、それぞれの段階で注意すべきポイントが多数あります。それらを自然にできるようになるには、沢山の修練が必要です。

今回の指圧セミナーでは、各段階でチェックポイントを設けて、四指の支えは適切か?移動軸は正しいか?重心の位置や下半身の安定性は保たれているか?などを逐次チェックし、確認していくことで柔らかくかつ浸透する圧をできるようになるように修練しました。

また、セミナー開始前に『ボディスキャン瞑想体験講座』を開催しました。参加自由・無料で行ないました。手技療法との併用で相乗効果が期待できる他、施術者自身の感覚を感じる力を高め、より深い集中した状態で施術を行なう訓練ともなります。(セラピューティック・マインドフルネス)

【終了】指圧セミナー『押圧操作の基本(反作用圧法)+ ボディスキャン瞑想体験講座』(9月1日・15日)

9月15日の回より、今後より良い講習会とすることを目的として、参加者の方々にアンケートをお聞きすることにいたしました。その結果を含めて、ご報告いたします。

アンケート結果スライド

アンケート結果

セミナー後より押し方、考え方に変化はありましたか?

変化有り 4(50%)
考え方、押し方ともにやや変化あり 3(38%)
考え方には少し変化あり、押し方はあまり変化なし 0(0%)
変化なし 1(13%)

セミナーの時間について

短い 0(0%)
やや短い 0(0%)
ちょうどいい 7(88%)
やや長い 1(13%)
長い 0(0%)

内容は理解できましたでしょうか

理解できた 6(75%)
やや理解できた 2(25%)
どちらでもない 0(0%)
あまり理解できなかった 0(0%)
理解できなかった 0(0%)

全体的な満足度についてお聞かせ下さい

とても満足 2(25%)
満足 6(75%)
普通 0(0%)
やや不満足 0(0%)
不満足 0(0%)

役にたったこと、ためになったことなどお聞かせ下さい

今は母指が使えないのですが、四肢で練習をしています。
今回押し方もですが、引き方の大切さが解りました。
指の使い方が解りやすく、壊しにくい姿勢がよく解りましたので、治ったらじっくり練習したいです。

腱鞘炎などで母指が痛いような状態でも、上肢や下肢において手首の締めなどの練習は行なえます。むしろ今は無理な加圧はせずに、触れ方の練習を徹底するのが良いのかもしれません。

組織、ベクトル、関節の連動性がとてもわかりやすく、言葉にして教えることはとても難しい分野ですが、事細かく丁寧に教えておられること、実際にやってみせ、体験した後にイメージを伝え、出来ているかの確認を一人一人されているという、本当に丁寧なセミナーと感じました。但し、セミナーをうける方のレベルは全くの初心者とはわけた方が良いのではと感じました。それは、セミナーをうける立場の方も学校で教わるやり方とは違うことに困惑している状況で全くの初心者と組んで押し方等を指導しなくてはならない点はセミナーに集中したい気持ちにストレスに感じたのではと思うからです。このセミナーを第一段階として次のステップをどの様にされていくのか楽しみです。

アドバイス誠にありがとうございます。はい。シンプルですが奥深い指圧の基本をしっかりと広められるように、頑張っていきたいと思います。

「引きながら圧す」という技術をはじめて知りました。
指と筋肉との対話力が求められますね。

はい。受け手の組織の反発をやさしく受け止めてあげるようにして「引きながら圧す」ことができると、ごく軽い圧で緩められるようになります。そう。筋肉さんとお話するような感覚です。

やはり、受け手への触れ方が、いかに繊細で柔らかく触れる事により受け手が安心感を感じる事が出来るか、また、優しく触れる事により押圧の反作用を感じる事が役に立ってます。

その通りだと思います。繊細で柔らかく触れることによる安心感。そこから、柔らかい圧で全く痛みを伴わずに緩めることもできますし、そこから少し効かせる圧を入れることも可能です。触れた段階で防御反射を引き起こさないので、圧も深く入ります。

筋肉をリリースする時に一番緩むと感じる、と先生がおっしゃっていたことに共感し、実際に自分にやってみたところ、満足度というかリラックス度が高まった気がします。

マインドフルネスのボディスキャニング時に、イメージだけでなく実際に施術者が患者に触れながら(指圧ではなく触圧)特にリリースを受け止めるようにやってみてはどうだろうかと思いました。

ありがとうございます。この感覚がつかめますと、ごく軽い圧で緩められるようになります。実際に「マインドフルネス触圧弛緩法」という名称にて、提供を始めることにいたしました。クライアントによるクライアント自身の身体感覚や筋肉や臓器との対話をお手伝いするように、セッションを組み立てて行きます。

在学中の授業よりさらに深く掘り下げた押圧法を体験できました。また、ワークショップ開催を想定した院づくりは非常に参考になります。

はい。学校の授業では時間が分断されてしまうのもあり、系統的に掘り下げてお伝えすることがなかなかできませんでした。オープンな畳みの空間と座学もできる机スペースを活用し、今後も指圧だけでなく、いろいろなイベントを開催していきたいと思っています。

授業では説明時間が短いため細かな所があやふやなままでしたが今回のセミナーでかなり理解出来ました。

手法はシンプルですが、それを実際に行なうには、やはり正しい理解とともに修練が必要であると思います。感覚による反復練習においても会得できますが、運動物理的な知識の裏付けがあると、修得速度が速くなると思います。

受け手・術者にとってとても優しく、特に、受け手には効果がある方法と理解しました。 解剖学・生理学を熟知されている信頼ある先生の講義という裏ずけがあることも、理解に繋がっています。
これから色々な情報をインプットする必要があり、その中から、大切だと思うものをアウトプットしていきます。 今回学んだ、”受け手・術者にとってとても優しく”の大前提は変わることはありません。
実技の授業では教わることがないものが多いことに、多少の戸惑いがありますが、情弱にならないよう、日々、勉強・修練をしていきます。

インプットだけでなくアウトプット。そして日々の勉強と修練。道はシンプルだと思います。着実に進んでいく持続力が鍵のような気がいたします。

取り入れて欲しい内容、分かりにくい点などなどお聞かせ下さい

凝り返しのする指圧、しない指圧の違い  とか?

「凝り返し」 → 「揉み返し」でしょうか。

いわゆる「揉み返し」は筋線維が損傷を受けた場合に生じます。指圧やマッサージは痛いほど効くと思っている方が多いです。痛み刺激の入力により、脳内でβエンドルフィンが分泌されることが報告されています。これは強力な鎮痛・快楽効果をもたらします。それがその場で「楽になった」と感じられる要因ですが、ダメージを受けた筋線維が翌日以降に揉み返しとして現われます。これを繰り返しますと、修復が間に合わない筋線維が膠原線維で置き換えられ、さらに固く、感覚が鈍くなってきます。揉み返しは決して良い反応ではないというのが、私の見解です。

ベクトル、関節の連動性、滑走性を図や絵などで、説明されるともっと解りやすいと思うので考慮して頂ければと思います。
また、硬結がなぜうまれるのか?緩むということが、躰にどう影響し、改善していくのか? 等の問題提起、アンサー等も少しずつ入れて頂けるといいなー
これは希望です

たしかに、その部分を図示して説明できると素晴らしいですね。私自身、いまだ曖昧な部分が多いです。科学的根拠に基づいた理論で図示できるように、勉強を重ねていきます。
アドバイス、ありがとうございます。

個人的には、基本指圧操作の補完・習得を目的に参加させていただいています。取り入れて欲しい内容としましては、①臨床に役立つ局所の施術(理学テストを含む)、②指圧操作に対する理学的な解説(理論付け)を希望いたします。例えば、1)肩関節の挙上操作時に、関節胞内で何が起きているのか 2)腹部指圧の最後に、背側を指で持ち上げる意味・・・等。学校の実技中では、一般的な、血行がよくなる、コリが取れる、関節可動域が広がるというお話はあるのですが、具体的に体内で何が起きているのかを、解剖・生理と関連付けて説明していただける時間が少ないように感じています。末筆になりますが、お忙しい中、セミナーを開催していただき感謝しています。どうもありがとうございます。

(追伸)
先生のホームページの「ひかがみ」のお話を大変興味深く拝見いたしました。ヒラメ筋による重力ゲートウエイ反射にも関係してくるのかな?などとワクワクしながら読ませていただきました。

こうして、アンケートをとって初めてわかるニーズがあります。誠にありがとうございます。良く読み、熟考し、理論的な解説を検証、資料を作成していきたいと思います。貴重なご意見ありがとうございます。

基本的な押圧動作の他、浪越指圧の中で前頚部、下腿おおつかみ、掌圧など母指圧以外の指圧動作も取り入れて頂きたく思います。

はい。横臥位、伏臥位、仰臥位と全身指圧の各部位にさまざまなコツや理論があります。全身操作についても、これから講座を開催していきます。また、いつでも疑問点などお聞き下さい。私自身の勉強にもなりますので。

ベッドでやる場合の施術の仕方も教えていただけると幸いです。

治療室に、ベッドも用意してあります。
より太極拳的な身体操作が入り、また他動的関節運動法などもバリエーションが増やせます。
今後、ベッドでの施術も講習内容に積極的に取り入れていきたいと思います。

セミナー内容の考察

指圧セミナー『押圧操作の基本(反作用圧法)』を9月15日に開催いたしました。

午前中は「触れ方、手首の締めによる四指の支え」について重点を置き、説明と練習を行いました。
繊細で優しい触れ方は受け手の安心感をもたらします。手指の力は抜き、四指は自然と柔らかく揃え、包み込むようにまず母指が触れます。四指の支えの面の軸となるのは中指です。中指を気持ち1〜2cmほどすっと遠くへ伸ばします。四指は中指に誘導されるように、受け手の体表面をそっと覆い、小指MP関節と小指が接します。この時に手掌部まですべて受け手の体表面に接してしまうと、母指圧がぼやけてしまいますので、指が2本入るくらいの凹みをつくります。この時のチェックポイントとしては、触れた時に筋肉まで押していないか? 母指は受け手の体表面に対して、偏りがない状態となっているか?に重点を置いて確認いたします。

次に、手首の遊びを取ることにより、四指を吸い付けます。肘関節はまっすぐに伸ばした状態ではなく、少し緩んだ状態より始めます。肩甲間部や肩甲下部、大腿前側部や大腿後側部など多くの部位では、手の動きとしては「回内」動作に近いイメージで手首を締めます。このときに「回内」により小指を離してしまうのではなく、小指・薬指のMP関節を密着させたまま手首の締めを行なうことで、四指が吸い付くように密着します。同時に肘頭はやや外側に向きます。また、腋窩部や大腿外側部などでは「回外」的な動きにより四指を密着させます。肩甲上部では四指を引き寄せる動きを使います。

手首の締めを使い、四指を密着させると同時に、小指・薬指のMP関節部を支点とした梃子の作用が働き、母指が自然に筋膜表面までやや沈み込みます。皮膚に触れ、手首の締めを行なうことで、押圧前に四指の支えを成立させます。

包み込まれるような安心感とともに、母指圧が深く浸透するための支え圧は、「四指で押す」のではなく「四指を引き寄せる」ように意識するのがポイントです。四指圧も「押す」ように加圧すると、母指と四指の両方で圧迫を受けるような “重い圧” となります。体重圧にて加圧する場合は、母指に圧力が行くのと同時に四指MP〜四指にも体重が分散してしまいがちとなります。四指を引き寄せるように支え圧を行なうためには、反作用による押圧が容易となります。

肩甲下部を押す際に、脊柱の際を押したい為に、母指を脊柱に平行に置くと、それに伴い、四指の方向が上向きと横向きにずれます。この場合は母指圧のベクトルに対して、左右の四指の圧が収束しないので、支え圧となりません。 大腿部では四指尖は下向きではなく、やや斜め前に向けます。手の形だけ取り出すと、重ね母指と四指でボールを抱える形となります。四指先が真下に向いている場合、ボールを抱えることができません。

この触れ方と手首の締めによる支えまでを少し時間をかけて、丁寧に練習しました。とても大切な基本の基礎です。

指圧の勉強なので、どうしてもすぐに「押したく」なりますが、この触れ方・手首の締めの練習では加圧はせずに練習を行いました。指を置いたときに、母指の外側に偏っている例が見られます。この状態で指圧を続けていると、指を痛めてしまいがちです。ここで3つの指づくりについてお話をしました。

指づくり1は、軟式テニスボールを使った練習法です。これは四指をつかった支えの壁をつくる練習になるのと同時に、母指に垂直圧の感覚を覚えさせる最適な訓練法です。ほんの少し空気圧を抜いた柔らかめの軟式テニスボールを使います。空気を注入するヘソの部分を中指指紋部に当て、母指はその反対側に置きます。そして手首を締めるイメージで四指と母指を密着させます。この時に母指がほんの少しだけ沈みます。そこから垂直に押圧します。押圧時にテニスボールが横からみたら大福みたいに、上からみたら赤血球みたいに偏りない形にします。やってみると以外に難しいのがわかります。

指づくり2は、何も道具は使いません。四指を動かさず、なるべく大きな弧を描いて母指を薬指指紋部にもっていく動きを行ないます。四指は動かさずにがポイントです。これを30〜50回と続けると、前腕や母指球筋がパンパンに張ってきます。母指球筋を鍛えるためのもっとも簡便で効果的な方法です。

指づくり3は、正座で行ないます。四指は揃え、手掌部にはやや凹みをつくり、母指を開きます。そして、正座している真横の床面に母指と四指を起きます(片側だけ)。この時床面まで隙間ができるようであれば、厚めの本などを挟むと良いです。床面に母指と四指が接したら、左右の肩の高さは変えず上肢帯をそのまま真横にスライドさせるようにします。それに伴い脊柱、主に胸椎が側面に移動し、指に圧が乗ります。この時、力をいれて指で床面を押しているという感覚はないはずです。押そうとは思っていないのに、圧が入っている状態です。この状態が「力が抜けた状態で圧が入っている」状態となります。

その後スタンスの種類と、重心の位置についての説明と練習を行いました。両下肢の方向や角度によるスタンスには「閉じたスタンス」と「開いたスタンス」があります。双方に利点があるので、状況や部位により使い分けができるようになると良いです。

「閉じたスタンス」では、体幹の向きと前側の足指が同じ方向を向くスタンスです。体幹を前に移動させても、前側の足底で自分の体を支えることができます。受け手にのし掛からないので、安全性が高く、精度の高い押圧が可能です。

「開いたスタンス」は、体幹の向きに対して、前側の足指はやや外側に開きます。前側の足で自分の体を支えることはできないので、膝を付いている側の下腿―大腿の角度が90度を越えると、圧のコントロールを失いのし掛かってしまいます。注意しないと容易に相手にのし掛かってしまう点に注意が必要ですが、下半身や体幹の動きを効率良く圧にできるという利点があります。

当治療室の指圧セミナーでは故 鈴木林三先生より教わった「開いたスタンス」を元に、口伝により得たさまざまなコツを理論化、反作用や運動学による動作の理論的分析を行ない、太極拳の身体操作をヒントに下肢〜殿部〜背部〜肘の伸展を積み重ねることによりのしかからないで、柔らかく浸透する精度の高い押圧を行なうことを目的としてます。

重心の位置に関しては、片膝立ちの姿勢をとった場合に、膝が接している側の大腿と体幹が真っすぐになっている場合は、重心が膝にかかっています。開いたスタンスにおいて、そこから体幹を前に移動させると、重心が膝より前方へ移動し、受け手にのしかかってしまいます。重心を膝に落とした状態より、股関節と膝関節をやや屈曲させ、骨盤を後方にスライドさせることにより、重心が下腿~足背へと下がります。下腿~足背がしっかりと地面を捉えて、下半身が安定します。 骨盤を後方へスライドさせるのではなく、殿部を後ろに突き出すように股関節を屈曲させてしまうと、下半身と上半身の連動が途切れてしまい、結果として腕の力に頼った圧となってしまいます。尾骨を前方に向けたまま骨盤を後ろにスライドするようにします。
この時のチェックポイントとしては、膝に重心が落ちている場合は、誰かが踵を持ち上げようとした場合に、容易に踵が持ち上がります。重心が下腿~足背にある場合は、踵を持ち上げようとしても、あがりません。

お昼休憩をはさみ、午後は軸の使い方から始めました。
体軸の移動方向を定めるための「五円玉ネックレス」を使用した練習法です。五円玉ネックレスのやや先に母指を置き、圧点を定めます。五円玉が母指の真上を通る方向に体軸を移動させます。この時に移動の初動では圧を掛けないのがポイントです。身体は前に移動しますが、圧をかけずに溜めをつくります。

そして、五円玉が母指の真上を通過するタイミングで背部と肘が滑らかに伸展することにより圧が入ります。足先より下肢、殿部、背中、肘と各関節のほんの少しの伸展を積み重ね連鎖させることにより精度の高い浸透する押圧を行ないます。押圧時には広背筋を効かせて、肩甲骨を下制、下方回旋させ固定することが大切です。広背筋を効かせてない状態では、下半身からの張力の伝導が腕へと伝わる際に、肩甲骨が固定されていないことによりぬめってしまい、力の伝導にロスが生じます。

脊柱の伸び上がりは真上ではなく、脊柱の傾斜角に沿うように行ないます。亀が甲羅から頚を出すような感じと鈴木林三先生はよく表現していました。体軸と圧点が一致すると、容易に自然に浸透する圧が入ります。反作用が理解できていれば、例えば壁際のベットでの施術などでも、体軸と圧点がずれた環境においても、垂直圧を入れられるようになります。しかし、まずは体軸と圧点をしっかりと一致させた状態で練習を積み重ねるのが良いです。

その後、反作用についての説明と実践練習を行ないました。反作用にて押圧を行なう場合は、抗重力筋群を用いた伸び上がる動きを押圧に用います。母指から受け手の身体に向かう下向きのベクトルだけでなく、母指から真逆に引き上げられるベクトルも意識します。

まず、スタンスをとる位置や身体の方向についてです。反作用の意識を用いることで、受け手に対する身体の角度、膝の位置、スタンスの開き具合などの適切な位置が感覚で分かるようになります。そして、垂直に圧が入るようになります。

加圧する側の母指は片手母指圧の形をとります。反対側の母指と示指でつまみ手をつくり、片手母指圧の形をとっている手の爪の部分につまみ手をセットします。つまみ手の肘の角度は変えずに、背中の伸び上がり動作を行い、つまみ手から「(仮想の)透明な糸」を圧の方向と真逆に引き上げる動作を行ないます。その動作が自然に行なえる膝の位置、体幹の向きが、押圧に最も適した位置取りとなります。この感覚を理解すれば、どの部位であっても、押圧に適した位置取り、体幹の向きなどが感覚でわかるようになります。

反作用圧の利点としては、上下に貫通するベクトルに基づいた動きで加圧するので、垂直に圧が入るようになります。そして、柔らかく軽いのに深部まで浸透する圧になります。反作用を上手く使えた場合、母指より体幹を遠ざかる動きを加えることで、母指のみに圧が伝導され、四指は包み込む支え圧に徹することができます。体重でのっかからないので、圧のコントロールを正確に保てます。通常より強い圧を必要とする場合、下半身とくに膝関節伸展に伴う足背から生じる地面からの反力を指先に伝え、圧とすることができます。

指先に体重を乗せる圧法の場合、圧の方向がやや突き上げ圧になっていたり、付き下げ圧となっているなど曲っていても、術者がそのことに気がつきにくいです。そして母指のみでなく四指にも体重が分散してしまいがち。圧の質が「重く」なります。

反作用圧を効率良く、連続して行なうには、「減圧操作」がとても大切になります。肘を伸展させた状態で、身体を引くことで減圧をしません。体幹を引かずに、肘・背中・腰にかけての弛緩で減圧します。圧が抜けてから、体幹を後ろに引きます。それに付随して母指が次の圧点へと移動します。指の移動順番は,重ね母指をほんの少し解き、四指はそのままで、母指のみ次の圧点へと移動させる。そして次に両手の四指を移動させ、ふたたび四指をMP関節より力が抜けた状態で体表の曲面に沿わせて、手首の締めを使い、四指を密着させます。これは自分が人型の風船であることをイメージすると良いと思います。風船から空気が抜けるように、背中と肘を「その場」で弛緩させます。すると背中と肘がやや屈曲し、受け手にすこし近づきます。背中と肘を弛緩させ、受け手に少し近づいた状態を作らないと、次の圧点での「伸びしろ」が無くなってしまい、肘と背中の伸展による押圧ができなくなります。

そして、最後に弛緩を効率良く導く減圧法 − 引きの指圧 – について説明と練習を行いました。減圧時に、肘と背中の弛緩を行い、母指で受け手の組織の反発力を感じるようにします。この「圧がかかっているけど、引いている時間」、すなわち押しながら引くという状態を作り出すことで、スパズムを低減させる効果は格段に高まります(引きの指圧)。 この減圧時に、受け手の組織の反発力を受け止めるようにすることが弛緩を促すということが感覚で分かると、ごく弱い圧で緩めることができるようになります。これは、非常に微細な感覚を必要とします。関節運動を伴い減圧を行なうのではなく、持続圧に用いていた筋群の筋トーヌスの出力を弱めます。すると持続圧の均衡がやぶれ、受け手の組織の復元する力により母指指紋部が押され返されます。この時に筋を弛緩させる反射が非常に起こりやすくなります。

これは筋の局所のもみほぐしではなく、大脳を介した弛緩機序であると推測されます。大脳が自覚していなかった筋の緊張をやさしく教えてあげるように圧を加えます。私のイメージでコリは閉まっている扉のようなものだと考えます。扉が閉じています。やさしくノックします。コンコン。受け手の筋肉さんを信頼して、やさしく一歩引いて待ってあげます。すると受け手の筋肉さんが安心して扉を開いてくれます。「どうぞ」って。決して、閉まっている扉を無理やりこじ開けたり、破ったりしてはいけません。

指圧はグイグイと押される痛いもの。というイメージが世間ではついてしまっています。ですが、指圧はもっとも優しい手技になれる筈なんです。そのためには指先から体幹、足先まで多々の注意すべき点があります。理論的に理解し、練習と実践を重ねてほしいと思います。きっとそれが多くの方々に恩恵をもたらすものであると私は信じています。

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