ボディ・スキャン瞑想はマサチューセッツ大学教授ジョン・カバット・ジン氏により仏教の瞑想法をヒントに開発されたストレス低減法です。彼は1979年に同大学のストレス低減センターでボディ・スキャン瞑想をはじめとする、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)を教えはじめました。すると、さまざまな症状に対して効果が認められたことから、アメリカの臨床心理学の世界にマインドフルネスが一気に広まりました。また、脳と身体の疲労を軽減し、集中力や洞察力を養えることから、googleを始めとするビジネスの世界にもセルフメンテナンス・能力開発の技法として広まりをみせています。
ボディ・スキャン瞑想の行い方
- 仰向けになり目を閉じます。
- 10秒ほど呼吸に意識を向けます。
- 注意を左足の先に移動させます。左足に感じているありのままの感覚を感じます。
- ゆっくりと注意を足の付け根のほうます。ふくらはぎやスネ、膝と膝裏、太ももの前後と移動し、それぞれの部位の感覚を感じ取って行きます。
- 足の付け根に達したら、次は右足に注意を移動させます。同じく足の付け根まで注意をゆっくりと移動させながら、感覚を感じ取っていきます。
- 次は、骨盤から上に向かって胴体全体(腰と腹部、背中と胸、肩)と感じ取っていきます。
- 次は両手の指先に注意を集中します。左右同時に手の先、前腕、肘から上腕と注意を移動させながら、ありのままの感覚を感じ取っていきます。
- 腕の感覚を感じ終えたら、そのまま肩より首、顔、後頭部、頭の先へと注意を移動させ、感覚を感じ取っていきます。
このように、足先から初めて、頭のてっぺんまで、身体の各部をスキャンして観察していくので、ボディ・スキャンと言われます。
ボディ・スキャン瞑想のコツ
ここで、全体を通してのいくつかのコツをお話します。
コツ1『肺だけでなく、身体全体で呼吸をしているような感覚を持ってみる』息を吸う時は、肺がふくらみ、その空気がさらに全身隅々に広がって、体全体がすこし充満していくようなイメージを持ってみます。そして息を吐くと共に、全身が弛緩して、緊張感や不快感なども吐く息とともに流れ出ていくことをイメージします。
コツ2『観察している部位の皮膚に生じている感覚を感じたら、内部の筋肉や臓器にも心の目を向けてみる』特に首や肩、背中や腰などは、無意識のうちに筋肉を固めてしまいがちです。ボディ・スキャンの中で、筋肉の緊張なども観察していきます。そして吐く息とともに、力を抜き、柔らかく解放していきます。
コツ3『考え事に気づいたら、そっと再び感覚にもどってあげる』瞑想をしていると、いろいろなことが思い出されたり、いつの間にか考え事に心が移り、感覚の観察を忘れてしまっていることがよくあります。これが一般的にいう「雑念」です。人の脳の構造は常に考え事を巡らせて行動するようにできているので、雑念が生じるのは当たり前の話です。雑念に気がついたら、そっとまた感覚の観察に戻ってあげる。それだけです。このプロセスが大切で、何度も何度も、考え事をやさしく手放し、そっと感覚の観察に戻ってあげることを繰り返していますと、だんだんと心が落ち着いてきます。運動により筋肉が鍛えられるのと同じように、こころもマインドフルネスのトレーニングで鍛えることができます。すると平静さが養われ、同時に集中力や洞察力も身に付いてくると言われています。
参考)ジョン・カバットジン『マインドフルネスストレス低減法』, 北大路書房, 2007
参考)ジョン・カバットジン (著)『4枚組のCDで実践する マインドフルネス瞑想ガイド』,北大路書房, 2013
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ガーデンマム・ジジさん(治療室の入り口に新しく加わってもらいました)
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