40代男性
主訴は胃腸虚弱体質、冷え性もあり下腹部に力が入らず小水が近いとのこと。背骨の側彎もありました。
13年前に肝臓ポリープの手術をしたことがあり、開腹での手術だったとのことでした。手術痕を見せていただいたですが、ミズオチからお臍にかけて縦に痕がありました。
お電話で肝臓の手術をしたことは伺っていたので、この日はベン石温熱器の温度設定を5段階の1と2に設定しておきました。
私は普段、ベン石温熱器を上肢・下肢や腰背部の筋膜リリースに適するように温度設定を高くして、少し圧をかけて流す擦過軽擦のように使用することが多いです。
しかし、この日は持続的に熱をいれて、腹部の癒着を少しでも解消できたらという目的で低い温度設定にしました。
側彎もあり、筋の緊張がとても強いところと、力が抜けているところの差が大きく、少し強めの圧をいれると防御反射がおきるので、触れ方も特にやさしく、ベン石の熱刺激と母指や四指での押圧刺激を同時におこないました。
指先で筋肉の様子を感じながら、ベン石で温熱を浸透させ、そしてほんの少しだけ筋線維に沿うようにスライドさせます。
異常興奮している筋紡錘に働きかけ、γ運動ニューロンの興奮を鎮めるような気持ちで押圧をつづけました。
ハムストリングスはあまりに緊張が強く、ピンと細くて硬いスジになっています。これは「やさしいトークセン」で対応しました。緊張をといても大丈夫なんですよ。と情報をおくるように。
かなりのストレスを耐えてきた身体という印象でした。滞りを解消させ、なるべく姿勢のアンバランスを改善できるように施術をさせていただきました。
ですが、常に交感神経が過緊張しているような状態で、消化管も慢性的に抑制された状態で、筋骨格系も縮んで耐えているかんじです。
こころが作り出す過緊張をしずめて、「ゆるんでもいいんだ」という状態をつくりだすために、最後にボディ・スキャン瞑想をお伝えしました。
穏やかな呼吸という舟にゆられるように。
膨らみ、ちぢみのリズムの中で、からだの各部位に意識を向けていきます。
足先、ふくらはぎ、ふともも。
緩めるというのを目的にするのではなく、そのままを感じることを意識します。
身体のどんな部位であれ、意識をむけるとそこには何かしらの感覚が生じています。
つま先がむずむずする感覚。
かかとが布団に接している感覚。
ふくらはぎは。ふとももは。
どんな感覚でもかまいません。そのままの感覚を味わってみます。
そして、もしいままで気がつかなかった緊張などがみつかったら、穏やかに息を吸い、そして息を吐く時に、その緊張もいっしょにでていくようなイメージをつかってみます。
肺がふくらみ、おなかがふくらみ。
それと同時に、体全体がほんの少しだけ。1mmほどふくらむイメージをしてみます。すると吐く時にふくらんだ分縮みます。すると脱力がやりやすくなります。
下肢がおわったら、殿部や背部。
次に、腹部、胸部。
上肢を観察し、最後に頚、顔、頭へと移動します。
ずっと自分とともに生きてきた、自分の「からだ」
仕事をしていると、どうしても緊張が生じてしまうこともあります。
家に帰った時や、落ち着ける環境、安心できる場所で、そっと身体に意識をむけ、「いまは緩んでもいいんだよ」と身体に語りかけてあげてください。
自律神経失調は手技とマインドフルネスで良くできる可能性が十分にあります。
交感神経が常に過緊張となっている状態が改善されてくれば、きっと食欲もでてくると思います。
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